人体等価固体ファントム
人間と同じ電気特性を持った人体の形状品になります。弊社では頭と手の形状を用意しています。また、別途お好みの形状への加工や必要な電気特性(複素比誘電率)への調整も承ります。
固体ファントム
携帯電話,Bluetoothのヘッドセットなど、人体の至近距離若しくは,人体に接触して使用される機器の開発、特性測定においては,人体の影響を考慮した測定をする必要性があります。人体の影響を考慮しながら測定を行う場合,実際に人体に接触して測定することもできますが,人体の誘電率には個人差があり,また,同一人物でも季節によって誘電率が変化したりするため,測定データの相関性に難点があります。このため,人体と類似電気特性を持った模擬生体(ファントム)が使われています。
人体等価ファントムには,大きく分けて液体ファントムと固体ファントムがありますが,液体ファントムは,電解質である食塩の電離度が温度変化と連動して変化するなど,誘電率の変化が生じたり,腐敗による液体の造り直しをすることによる誘電率の再現性に問題があり,測定データの相関性に難点がありました。
本製品は化学的に安定なシリコーン樹脂に,無機質の誘電体を組み合わせ,複素誘電率を人体と類似に制御した固体ファントムです。本固体ファントムは,物理化学的に安定で,温度変化や経時変化による誘電率の変化がほとんど無いため,測定データの相関性がとりやすくなっております。
また,本ファントム素材は型枠への注型が行いやすく,様々な形状の物を造ることができるため,ご要望にお応えした形状の製品をご提供することができます。
下記のグラフは,人体の誘電率の文献値です。
ヘッドファントム
人体の比誘電率(IEC,CTIA,FCCの文献値)
低周波数用固体ファントム
さらに,特筆すべきは,これまでの固体ファントムでは,300MHz以上の周波数に対応したものはありましたが,RF-IDのように13.56MHzといった低い周波数帯の物には対応しておりませんでした。300MHz以下の周波数では,誘電率の実数部に比べて虚数部が急激に高くなるためで,固体ファントムではこのような誘電率の変化に対応するものが出来ないとされていました。弊社では,特殊な誘電材料を使用することで,300MHz以下の低い周波数帯域,特にRF-IDなど様々な用途で使用されている13.56MHzのような低い周波数にも対応した人体等価固体ファントムをご提供することが可能となりました。
下記グラフは,代表例として,10MHz~30MHzに対応した固体ファントムの誘電率を表したグラフです。
ハンドファントム
10~100MHz用ファントム測定値(代表値)